こんにちは!
行政書士の宮城彩奈(@ayanamiyagi)です。
建設工事の適正な施工確保のため、主任技術者・監理技術者・監理技術者補佐については、所属する建設業者において直接的かつ恒常的な雇用関係(=派遣や出向ではなく、所属する建設会社に直接雇用され継続した労使関係)が求められています。
「出向ではなく」とありますが、特例として企業集団(親会社・連結子会社間)においては、出向社員を直接的かつ恒常的な雇用関係があるとして監理技術者等として配置することを認めていますが、出向社員の取り扱いの更なる合理化を図るため、令和6年3月26日付けの通知により、令和6年4月1日から企業集団確認の取り扱いが変更になりました。
企業集団の新たな取り扱いは、「即時配置可能型(旧制度から改正)」「3ヶ月後等配置可能型(新制度)」の2つに分かれます。
即時配置可能型とは
即時配置可能型は、以下の要件を満たしていることについて企業集団確認を受けることにより企業集団内において親会社と連結子会社間での出向監理技術者等を配置することが出来ます。
即時配置可能型の要件
- 一の親会社とその連結子会社からなる企業集団であること
- 親会社およびその連結子会社が建設業者であること
- ②の連結子会社が全て①の親会社の企業集団に含まれること
- 親会社またはそのすべての連結子会社のいずれか一方が経営事項審査を受けていないこと
- 親会社またはその連結子会社が、既に本通知による取り扱いになっていないこと
企業集団内で親会社および連結子会社が在籍出向社員を監理技術者等として配置する場合は、出向監理技術者等が配置された建設工事について、その企業集団を構成する親会社・連結子会社・非連結子会社は同一現場における下請け業者となることはできません。
上記は旧通知内容に基づいている企業集団確認ですが、改正により「即時配置可能型」と称されることになりました。
3ヶ月後等配置可能型とは
従来の方法(即時配置可能型)では、連結子会社間の出向社員による監理技術者等は認められていませんでした。
新設された「3ヶ月後配置可能型」により、親子間および連結子会社間での在籍出向者を監理技術者等として配置することができるようになりました。
3ヶ月後等配置可能型の要件
- 一の親会社とその連結子会社からなる企業集団であること
- 企業集団を構成する親会社およびその連結子会社が出向社員を監理技術者等として配置するときの要件として以下の場合は、所属建設業者から入札の申し込みがあった日以前に出向先と3か月以上の雇用関係が必要です。
- 「親会社とその連結子会社間」または「連結子会社間」の出向社員に関し、公共工事(国・地方公共団体および公共法人等が発注する建設工事)における元請の監理技術者等
- 連結子会社間の出向社員に関し、公共工事以外の工事における元請の監理技術者等および全ての工事における下請けの主任技術者
早見表で確認!
公共工事の元請監理技術者等 | 公共工事以外の元請監理技術者等 | 全ての工事における下請の主任技術者 | |
親会社と連結子会社間 | 3か月 | 即 | 即 |
連結子会社間 | 3か月 | 3か月 | 3か月 |
※ 即:在籍出向後、即時に配置可能
- 連結子会社間で出向監理技術者等を配置する場合は、必然的に3ヶ月後等配置可能型の適用となります。
- 連結子会社間で出向監理技術者等を配置する場合は、所属建設業者から入札の申し込みのあった日等以前に出向先と3か月以上の雇用関係が必要です。
指名競争に付す場合に入札の申し込みを伴わないものは入札の執行日、随意契約による場合には見積書の提出があった日、公共工事以外の工事で入札等を伴わないものは見積書の提出があった時のことを指します。
3ヶ月後等配置可能型の必要資料とは
在籍出向社員について、企業集団内の出向社員であり監理技術者等として配置できることを以下の資料により確認できるようにしておき、注文者の求めにより提出できるようにしておかなければなりません。
- 健康保険被保険者証等で出向社員の出向元の会社との間の雇用関係を示すことができる資料
- 出向契約書や出向協定書等で出向であることを証明できる資料
- 親会社とその連結子会社からなる企業集団内の会社であることを示す資料
- A.有価証券報告書により親会社および連結子会社が確認できる場合は有価証券報告書
- B. 上記Aで確認できない場合は以下全て
- 事業報告書または連結計算書
- 会計監査人による監査報告書
- C. 上記ABでも確認できない場合は以下全て
- 有価証券報告書
- 事業報告書または連結計算書
- 連結子会社一覧(指定様式あり)
- D. 上記AからCの資料と同程度に客観性が確保されると判断された資料
上記資料は、帳簿の保存期間と同期間保存してください。
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