こんにちは!前回は減価償却の基本用語と計算方法を一緒に学びました。
皆さんの理解もどんどん深まってきていると思います。
そこで今回は、初めて減価償却を行う際に気を付ける注意点などを解説していきます。
減価償却の勉強も、いよいよ大詰めだワン!
今回を踏まえて、ペクリンも会計の達人としてますますパワーアップしていくね。
少額減価償却資産とは
減価償却には「少額減価償却資産の特例」という制度があります。
対象となるのは、青色申告法人である中小企業で、常時使用する従業員の数が1,000人以下(令和2年4月1日以後に、資産を取得した場合は、従業員の数が500人以下)の法人です。
この制度は、取得価格が10万円以上30万円未満の固定資産に対し、定められた要件に該当する法人であれば、購入年度に、全額費用として償却計上することが出来るというものです。
ちなみに、合計金額は300万円が限度額です。
ジャスティン、例えばだけど事業年度が1年に満たない場合は?
それは限度額を月割しなくてはなりません
設立年度などで、事業年度が6ヶ月である場合の上限は
(300万円×6/12)となります。
また確定申告時には、別表16(7)「少額減価償却資産の取得価格の損金算入の特例に関する明細書」を添付して申告することが必要となります。
一括償却資産とは
一括償却資産とは、取得価格が10万円以上20万円未満の固定資産については個別に減価償却をせずに、使用した年から3年間にわたり、資産の取得価格の3分の1を必要経費に計上していくものです。
固定資産は、通常は「耐用年数にわたって、定額法や定率法で減価償却を行うもの」だったはず?
一般的な固定資産の償却方法はその方法ですが、資産の取得価格が20万円未満の場合は、耐用年数より短い期間(3年間)で均等償却する一括償却資産の選択も可能となりますよ。
少額減価償却資産と同様、申告時には別表16(8)「一括償却資産の損金算入に関する明細書」を添付して申告することが必要です。
また少額減価償却資産の対象となる会社は、青色申告書を提出する中小企業者または農業協同組合等で、常時使用する従業員数が500人以下の法人(令和2年3月31日以前に資産を取得するなどした場合は、1,000人以下)が対象で、一括償却資産の場合は、適用条件がなく、誰でも利用が出来ます。個人の場合で、雑所得でも適用可能となります。
仕事用にパソコンを1台買った場合の会計処理の方法
パソコンの価格が10万円未満
○消耗品などの勘定科目を使い、全額を購入した年の費用として計上する。
パソコンの取得価格が10万円以上20万円未満だった場合
○通常の減価償却を行う
○一括償却資産として、3年で一括償却を行う
○少額減価償却資産の特例の適用を受け、全額を購入した年の費用として計上する。
パソコンの取得価格が20万円以上30万円未満だった場合
○通常の減価償却を行う
○少額減価償却資産の特例の適用を受け、全額を購入した年の費用として計上する。
パソコンの取得価格が30万円以上だった場合
○通常の減価償却を行う
少額減価償却資産として扱うメリット・デメリット
事業年度末に減価償却資産を取得した場合、通常は1ヶ月分の減価償却費しか計上することが出来ません。しかしこの特例を利用すれば、たとえ事業年度末だったとしても取得価格の全額を経費にすることが出来ます=節税につながります。
全額を経費計上することによるデメリットはないのかというと、あるとも言えますし無いとも言えます。
そもそも費用処理もしくは償却時間を短くすることは「節税」と表裏一体で、その分その年の利益を下げることになるからです。
う~ん…その年の利益が出ていないということは、会社としてどういう事につながるんだろう
金融機関から融資や出資を受けたいというときには、マイナスに捉えられる場合がありますよね
一括償却資産として扱うメリット・デメリット
20万円未満の固定資産の耐用年数は、3年を超えるものがほとんどですが、一括償却資産として会計処理することで、通常の減価償却を行うより短時間で取得価格の全額を経費に計上することが出来ます。
そのため、早期に減価償却による節税効果を得られることが出来ます。
また、減価償却の対象となる「償却資産」を150万円分以上保有している場合、固定資産税の一種である償却資産税が課されます。
しかし、一括償却資産として会計処理したものについては、償却資産税の課税対象にはなりません。
ですから、償却資産税対策になります。
一括償却資産として処理した場合、通常の減価償却を行うより短時間で取得価格の全額を経費に計上できますが、1年あたりに計上する費用額は、通常の減価償却よりも高くなります。
そのため、少額減価償却資産と同様に金融機関からの融資や、投資家から出資を受けようとしている場合は、利益が低いことで不利に働く場合があります。
そういえば、一括償却資産の場合は少額減価償却資産と違ってなにか利用条件はあるのかな?
ペクリン!良いところに気づいたね。
青色申告を行っていることや企業規模にかかわらず、誰でも利用出来るのが一括償却資産の特徴ですよ。
まとめ
今回を含めて3回にわたり、減価償却の概要や目的、減価償却対象資産と非対象資産、基本用語と計算方法、注意点など7つのポイントにまとめて解説しました。
減価償却については、経審の審査項目であるX2と営業キャッシュフローに影響する項目なので、しっかりとどのような勘定科目なのかを理解する必要があります。
減価償却資産を適切に計上することは「節税」や「適切な損益の把握」だけではなく「事業としての長期的な投資の意思決定」ができるようになります。
知ってて損はない「減価償却」。学んだことを活かして、これからの会計処理に役立てて頂ければと思います。
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