こんにちは!
行政書士の宮城彩奈(@ayanamiyagi)です。
経営事項審査の加点対象が2023年(令和5年)1月に改正されると聞いたのだけど!
令和4年6月公布、令和5年1月から改正予定の経営事項審査加点の概要は以下です。
- ワークライフバランスの取り組み評価
- 下請負人に使用される者の労働条件改善に係る取組みの審査基準と評価(令和5年8月14日〜)
- 建設機械の保有状況に関する評価(加点対象になる建設機械の拡大)
- 環境への配慮に関する取り組みへの評価
- 監理技術者の加点期間の改正(令和4年8月15日〜)
改正の背景は、建設業における担い手の育成・確保、災害対応力の強化、環境への配慮を推進するため、これらに向けた建設業者の努力を適正に評価し、後押しするための改正です。
5つの改正内容を解説します。
ワークライフバランス(WLB)の取り組み評価とは?
現行の経営事項審査の評価項目には、ワークライフバランス(WLB)に関する項目はありませんが、建設業界も働き方改革を推進することで、女性を含め将来にわたって担い手の確保をしなければなりません。
また、働き方改革は業界全体のイメージアップのためにも、業界全体として取り組むことが重要のため、そのような取り組みが促進されるようWLBの実現に関する取り組みを評価することになりました。
具体的に、WLBに関する認定制度としては以下を想定しています。
- 「くるみん認定」
次世代育成支援対策推進法に基づいて、一定の基準を満たした企業を「子育てサポート企業」として、厚生労働大臣が認定する。 - 「えるぼし認定」
女性活躍推進法に基づいて、一定の基準を満たし、女性の活躍推進に関する状況などが優良な企業を認定する。 - 「ユースエール認定」
若者の採用・育成に積極的で、若者の雇用管理の状況などが優良な中小企業を厚生労働大臣が認定する。
ワークライフバランスの審査基準と評点は?
複数の認定を取得している場合は、1番評価の高い区分で加点することになります。
認定の区分 |
内閣府の示した配点割合 |
経審上の評点 | |
女性活躍推進法に基づく認定 | プラチナえるぼし | 5 | 5 |
えるぼし(3段階目) | 4 | 4 | |
えるぼし(2段階目) | 3 | 3 | |
えるぼし(1段階目) | 2 | 2 | |
次世代法に基づく認定 | プラチナくるみん | 4 | 4 |
くるみん | 3 | 3 | |
若者雇用推進法に基づく認定(エースユール) | 4 | 4 |
使用される者の労働条件改善に係る取組みの審査基準と評価とは?
技能労働者が建設キャリアアップシステム(CCUS)に就業実績を蓄積するためには、元請事業者がCCUSの事業者登録を行ない、建設現場ごとに現場登録を実施し、カードリーダーの設置等就業履歴の蓄積のために必要な環境を整備することが必要です。
また、建設キャリアアップシステム普及・活用に向けた官民施策パッケージにおいて、令和5年度よりあらゆる工事におけるCCUSの完全設置を目指しています。
元請業者がカードリーダーの設置等就業履歴蓄積のための措置を講じていることを評価すべきであるため、経営事項審査における加点は「全ての元請工事において、当該工事に従事する者が就業履歴を構築するために必要なカードリーダーの設置等の措置を講じていること」が要件になります。
CCUSの評点は?
要件 | 評点 |
直近事業年度に施工した全ての元請け工事において、CCUS上の現場登録とカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること。 | 15 |
直近事業年度に施工した全ての元請け公共工事において、CCUS上の現場登録とカードリーダー設置等の就業履歴を蓄積するために必要な措置を講じていること。 | 10 |
建設機械の保有状況に関する評価とは?
現行の経審では、防災の観点から災害時の復旧対応に使用され、定期検査により保有・稼働確認ができる代表的な建設機械の保有状況を加点評価していますが、実際の災害対応において活躍しているものの、経営事項審査上は加点対象となっていない建設機械を今回の改正で加点対象になります。
赤字が今回の改正で加点対象になる機械です。
追加で加点対象になる建設機械とは?
分類 | 機種 | |
車両系建設機械 | 整地/運搬/積込み用機械 | ブル・ドーザ |
モーター・グレーダー | ||
トラクターショベル | ||
掘削用機械 | パワーショベル | |
ドラグ・ショベル | ||
ドラグ・ライン | ||
クラムシェル | ||
締固め用機械 | ロードローラ、振動ローラ | |
解体用機械 | ブレーカ、解体用掴み機等 | |
その他 | 高所作業車 |
環境への配慮に関する取り組みへの評価とは?
現行の経審では、環境マネジメントシステムISO14001の取得状況を加点対象にしていますが、実は経審受審会社のうち中小規模の建設業者はISO14001の取得している割合が少ないのが現状です。
脱炭素に向けた動きが加速する中、中小の建設業者においても脱炭素を含め環境問題への取り組みが改めて求められています。
各都道府県の入札参加資格審査では、エコアクション21を加点対象に加える動きが広まっていることから、エコアクション21も経審において加点対象とすることになりました。
エコアクション21の加点は3点。
ISO14001とエコアクション21を取得している場合は、5点(ISO14001)+3点(エコアクション21)=8点とせず、5点が上限になります。
監理技術者講習受講者の加点可能な期間について
令和2年10月の改正により、監理技術者の配置可能な期間は監理技術者講習受講の日から5年間だったところ、受講した日の翌年から5年間に変更しています。
改正前:監理技術者講習受講日が令和4年4月1日の場合、5年後の令和9年3月31日まで有効。
改正後:監理技術者講習受講日が令和4年4月1日の場合、翌年の令和5年1月1日から5年後の令和9年12月31日まで有効。
経審の審査基準では上記のような改正はされていないため、専任の監理技術者として配置可能な期間と、経審上の加点可能な期間にズレがありました。
今回の改正で、専任の監理技術者として配置可能な期間と、経審上加点可能な期間を揃える予定です。
経営事項審査は建設業専門の当事務所までご相談ください。
経営事項審査の審査基準は、数年に1度くらいの早いペースで改正が行われます。
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