【知らないとマズイ】追加工事の請負契約を結ばなかったら違法になる?

行政書士宮城彩奈

こんにちは!
行政書士の宮城彩奈(@ayanamiyagi)です。

工事を契約した後に、追加工事が発生したら変更契約を結ばなければなりません。

建設業法違反になる行為は以下のような場合です。

  1. 追加工事が発生したが、元請負人が書面による変更契約を行わなかった。
  2. 追加工事について、工事に着手した後や工事が終了した後に契約変更を行なった。
  3. 下請負人に対して追加工事の施工を指示した元請負人が、発注者との契約変更手続きが終わっていないことを理由に下請契約の変更をしなかった。
  4. 下請負人に責任がないにも関わらず、最初の契約時から工期が短くなり、残された工期内に工事を終了させるため労働者の増員が必要になった場合に、下請負人との協議に応じず、元請負人の一方的な都合で契約の変更を行わなかった。
  5. 納期が数ヶ月先の契約を結び、既に契約金額が確定しているにも関わらず、実際の納入時の資材価格下落を踏まえ、下請負人と変更契約を結ぶことなく、元請負人の一方的な都合で代金を減額した。

①から⑤のケースは、建設業法第19条第2項に違反します。

具体的には①から④は増額を行わなかった場合、⑤は契約通りに履行を行わなかった場合には、第19条第3項に違反します。

建設業法第19条(参考)
  1. (省略)
  2. 請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に掲げる事項に該当するものを変更するときは、その変更内容を書面に記載し、署名または記名押印をして相互に交付しなければならない。
  3. 建設工事の請負契約の当事者は、全二項の規定による措置に代えて、政令で定めるところにより、当該契約の相手方の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって、当該各項の規定による措置に準ずるものとして国土交通省令で定めるものを講ずることができる。この場合において、当該国土交通省令で定める措置を講じた者は、当該各項の規定による措置を講じたものとみなす。

建設業法違反にならないようにするには、どういった手順を踏めばよいのか解説します。

目次

追加工事等がある場合は着工前に契約変更を。

請負契約の当事者である元請負人と下請負人は、追加工事等で契約当初の請負契約内容を変更するときは、建設業法第19条第2項により、契約当初と同様に追加工事の着手前に変更内容を書面に記載し、署名または記名押印して相互に交付しなければなりません。

契約当初の内容はしっかり契約書に残しておいたとしても、追加工事が口約束のみで書面による契約されていなければ追加工事について紛争が発生する可能性があるため、災害等のやむを得ない事情を除き、原則、追加工事等の着手前に契約変更を行いましょう。

なお、「当事者の一方から設計変更等の申し出があった場合における工期の変更、請負代金の変更、損害の負担と額の算出方法」については契約当初にてできる限り具体的に定めましょう。

追加工事等の内容が確定しない場合の対応方法とは?

工事の状況により、追加工事等の全体数量等の内容が着工前の時点では確定できない等の理由で、追加工事等の依頼のときその都度契約を追加し変更契約を結ぶ手順が不合理な場合には、元請負人は以下の内容を記載した書面を下請負人と取り交わすことで契約変更等の手続きについては追加工事等の全体数量等の内容が確定した時点で遅滞なく行わなければなりません。

  • 下請負人に追加工事等として施工を依頼する工事の具体的な作業内容
  • 追加工事等が契約変更の対象になること、契約変更等を行う時期
  • 追加工事等にかかる契約単価の額

以下の場合は建設業法違反です。

合理的な理由がないのに変更契約を行わない場合

追加工事等が発生しているにも関わらず、元請負人が発注者との間で追加・変更契約を結んでいないことを理由に、下請負人から追加・変更契約に応じない等、元請負人が合理的な理由もなく一方的に変更契約を行わない場合は、建設業法第19条第2項に違反します。

追加工事等の費用を下請負人に負担させる場合

追加工事等を下請負人の負担で施工させたことで、下請代金の額が当初契約工事と追加工事を施工するために「通常必要と認められる原価」に満たない金額になる場合には、当該元請負人と下請負人の取引依存度によっていは、建設業法第19条第3項に違反する可能性があります。

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