【知らないとマズイ】建設工事の見積を今すぐ提出してもらうのはNGなの?

行政書士宮城彩奈

こんにちは!
行政書士の宮城彩奈(@ayanamiyagi)です。

さとし

建設工事の見積書を「今すぐ提出してほしい!」はNGなの?

建設業法では、発注者や元請負人が下請負人に見積書の提出を依頼するときは、下請負人に不利益が生じないように取引を行うため、一定の見積期間を設けるよう義務付けられています。

目次

見積依頼する際は下請契約の具体的な内容を提示

元請負人が下請負人に見積の提出を求める際には、下請契約の具体的な内容を提示しなければなりません。
請負契約書に記載することを義務付けられている事項のうち、請負代金を除くすべての事項を提示しましょう。

  • 工事名称
  • 施工場所
  • 設計図書(数量等を含む。)
  • 下請工事の責任施工範囲
  • 下請工事の工程および下請工事を含む工事の全体工程
  • 見積条件および他工種との関係部位、特殊部分に関する事項
  • 施工環境、施工制約に関する事項
  • 材料費、労働災害防止対策、建設副産物(建設発生土等の再生資源および産業廃棄物)の運搬および処理に係る元請下請間の費用負担区分に関する事項

元請負人は上記のうち、確定していない事項については契約を締結するまでに下請負人に対して具体的な内容を提示しなければなりません。
施工条件が確定していないなどの正当な理由がないのに、契約締結までに具体的な内容を提示しない場合は建設業法違反となります。(第20条第4項違反)

また、元請負人は下請負人に対して以下の2点が発生するおそれがあることを知っている場合は契約締結までに下請負人に対して必要な情報提供を行わなければなりません。
元請負人が把握していたにも関わらず、必要な情報提供を行わなかった場合、これも建設業法違反となります。(第20条第4項および第20条の2)

  • 地盤の沈下、地下埋設物による土壌汚染その他地中の状態に起因する事象
  • 騒音、振動その他の周囲の環境に配慮が必要な事象

下請契約の内容は書面で提示し、さらに元請負人は「施工条件・範囲リスト」(建設生産システム合理化推進協議会作成)に提示されるように、材料、機器・図面・書類、運搬、足場、養生、片付、安全などの作業内容を明確にしましょう。

工事の予定価格に応じて一定の見積期間を設けましょう

  • 工事1件の予定価格が500万円に満たない工事については、1日以上
    (例:4月1日に契約内容を提示した場合には4月3日)
  • 工事1件の予定価格が500万円以上、5,000万円に満たない工事については、10日以上
    (例:4月1日に契約内容を提示した場合には4月12日)
  • 工事1件の予定価格が5,000万円以上の工事については、15日以上
    (例:4月1日に契約内容を提示した場合には4月17日)

上記期間は、下請負人に対し契約内容の提示から契約締結までの間に設けなければならない期間です。
下請負人が見積期間の満了を待たずして見積書を交付したときを除いて、期間が経過した後に契約締結しましょう。
ただし、やむを得ない事情がある際には上記②③に限り5日以内で短縮することができます。

なお上記期間は、見積を行うための最短期間のため、元請負人は十分な見積期間を設けることが求められています。

  • 元請負人が不明確な工事内容の提示等、曖昧な見積条件で下請負人に見積を行わせた。
  • 元請負人が「できるだけ早く」等の曖昧な見積期間を設定したり、見積期間を設定せずに下請負人に見積を行わせた。
  • 元請負人が下請負人から工事内容等の見積条件に関する質問を受けた際、元請負人が未回答または曖昧な回答をした。
  • 元請負人が、予定価格700万円の下請契約を締結する際に、見積期間を3日として下請負人に見積を行わせた。
  • 元請負人が地下埋設物による土壌汚染があることを知りながら、下請負人に情報提供を行わせず、下請負人に見積を行わせた。
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