こんにちは!
行政書士の宮城彩奈(@ayanamiyagi)です。
建設工事を請け負ったら何かやらなければならないことはあるのかな?
建設業許可業者が工事を請け負った場合、「施工体制台帳」「施工体系図」「標識の掲示」が義務付けられています。
それぞれには、特定建設業者で元請となるか否か、公共工事か否かで若干の違いがあります。
少しややこしいですが、本記事でおさらいしましょう。
施工体制台帳と施工体系図の作成義務とは?
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者は、その工事を施工するために締結した下請金額の総額が4,500万円(建築一式工事の場合は7,000万円)以上となる場合は、工事現場ごとに監理技術者を設置するとともに、建設工事を適正に施工するため、建設業法により施工体制台帳の整備および施工体系図の作成が義務付けられています。
なお、公共工事の受注者は、施工体制台帳については、特定建設業者であるか否か、下請総額に関わらず、施工体制台帳を作成し建設現場に備え付けなければならず、施工体系図は、工事関係者や公衆が見やすい場所に掲げなければなりません。
施工体制台帳と施工体系図の作成目的とは?
施工体制台帳
施工体制台帳の作成を通じて、元請業者に現場の施工体制を把握させて主に以下3つを防止しようというものです。
- 品質・工程・安全などの施工上のトラブルの発生
- 不正不適格業者の参入や建設業法違反(一括下請負等)
- 安易な重層下請(生産効率低下に繋げる)
施工体系図
施工体系図は、作成した施工体制台帳に基づき元請業者が作成するもので、工事に関わる人たちが見ることにより施工分担関係が分かるようにした図で以下3つを目的としています。
- 全ての工事関係者が建設工事の施工体制を把握すること
- 工事の施工に関する責任と役割分担を明確にすること
- 技術者が適正に配置されているかを確認すること
施工体制台帳の整備とは?
建設業法第24条の7では、発注者から直接工事を請け負った特定建設業者は、その下請業者が建設業法等の関係法令に違反しないよう指導に努めなければならないとされており、下請業者に対する指導監督を行うために、特定建設業者の監理技術者が建設工事の施工体制を的確に把握する必要があります。
再下請け通知の義務付け
発注者から直接建設工事を請け負った特定建設業者で、その工事の下請総額が4,500万円以上(建築一式工事の場合は7,000万円)の下請契約を締結したものは、下請に対し、再下請けを行う場合は再下請け通知を行わなければならない旨を通知するとともに、掲示しなければなりません。
また、再下請通知書を受領した場合は、施工体制台帳を作成し工事現場ごとに備え付けなければなりません。
施工体制台帳の開示の義務付け
施工体制台帳を作成した特定建設業者は、発注者から請求があったときは、施工体制台帳を発注者に閲覧に供しなければなりません。また、発注者から請求があったときに施工体制台帳を発注者の閲覧に供することに代えて、作成した施工体制台帳の写しを発注者に提出しなければなりません。
さらに、公共工事の受注者は、発注者から施工体制が施工体制台帳の記載と合致しているかどうかの点検を求められたときは、拒むことはできません。
施工体系図の作成とは?
施工体制台帳を作成する特定建設業者は、建設工事にかかる全ての建設業者名、技術者名等を記載し工事現場における施工の分担関係を明示した施工体系図を作成し、工事現場の見やすい場所に、公共工事においては工事関係者及び公衆が見やすい場所に掲げなければなりません。
なお、施工体系図の掲示については、一定の要件のもとデジタルサイネージ等のICT機器を活用することもできます。
標識の掲示とは?
建設業許可を受けた適正な業者によって建設工事の施工がなされていることを対外的に明らかにすることと、多数の建設業者が同時に施工に携わるため、安全施工、災害防止等の責任が曖昧になりがちであるという建設工事の実態に鑑み、対外的に建設工事の責任主体を明確にすること等を目的として、元請は建設工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲げなければなりません。
現場に掲げる標識には、建設業許可に関する事項以外に「主任技術者又は監理技術者の氏名」「専任の有無(監理技術者補佐を配置している場合はその旨)」「資格名」「監理技術者資格者証交付番号等」を記載しましょう。
建設業者は、標識を掲示することにより、監理技術者等の資格を明確にするとともに、資格者証の交付を受けている者が設置されていること等を明らかにする必要があります。
なお、標識の掲示については、一定の要件のもとデジタルサイネージ等のICT機器を活用することもできます。
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