建設キャリアアップシステムか~
ジャスティンの事業は登録してる?
実はまだしてないんだ。なんだか面倒くさそうだし、
任意登録なら別に今すぐやらなくてもいいかなって思っちゃって。
登録の手間や費用も掛かってしまうけど、それ以上にメリットが大きいシステムになっているから、今回の解説を参考にしてみてね!
建設キャリアアップシステムとは?
建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System)とは、技能者(技能労働者)ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場作業の効率化などによって、若い世代が安心して働き続けられる建設業界を目指し、2019年4月より運用が開始されたシステムです。
原則義務化!CCUSの登録義務について
2024年1月現在は、建設キャリアアップシステムは任意登録になっていますが、国土交通省は近年中に建設キャリアアップシステムの登録義務化、完全実施を目指しているようです。
例えば、令和5年度に建設業退職金共済のキャリアアップシステム完全移行することが決定しており、今までは手入力で手間も時間もかかっていた手続きが、建設キャリアアップシステムのデータを活用することで面倒な作業がかなり軽減されることになります。
建設キャリアアップシステムを利用するには、本人情報や保有資格、社会保険加入状況などの登録が必要であり、登録義務化の背景には、こういった情報を「国や事業者などが把握しやすくする」「人手不足の要因をなくすために保有資格やキャリアを見える化する」ことで建設業界全体の魅力をアップさせるためという理由もあります。
また、現在は義務化はされていないと説明しましたが、例外的に登録が必要になるパターンがあります。
それは次に説明する外国人技能実習生を受け入れる場合です。
外国人技能実習生を受け入れる場合
下記の外国人を受け入れる事業者とその外国人本人は、建設キャリアアップシステムの登録が義務付けられています。
- 特定技能外国人
- 技能実習生
- 外国人建設就労者
建設業における「外国人技能実習生」は、行方不明者が非常に多く、早急な対策が求められる事態になっています。
政府は、労働環境(低賃金・就労現場の管理)が問題であると考えており、建設キャリアアップシステムの登録を義務化することで、より適切な労働管理を行うことが重要だと判断しています。
そのため、外国人技能実習生を受け入れる際は登録が必要となっているのです。
メリットについて
建設業界全体として、事業者や技能者および就労履歴情報をまとめた建設キャリアアップシステムが普及することで、
- 若い世代への建設業のイメージアップ
- 施主に対する価格交渉力アップ(根拠に基づく請求が可能)
- 真に実力がある企業が選ばれる透明性の高い建設市場への変革
が期待されています。事業者や技能者側からみた、それぞれのメリットは下記の通りです。
技能者のメリット
- 技能者自身の実力の見える化
⇒建設キャリアアップシステム情報を活用した能力評価と、レベルごとの年収の目安の明確化による、賃金水準の相場観の形成および引き上げ、ダンピング防止になります。
⇒現場や勤務先が変わっても、自らの能力を客観的に証明可能にできます。 - カードタッチによる業務の簡素化
⇒カードリーダーのタッチで、建退共掛金(建設業退職金共済)の積み立てができます。
⇒カードリーダーのタッチで、就業履歴(出退勤)をシステムに蓄積できます。
下請業者側のメリット
- 企業の実力の見える化
⇒自社が雇用する技能者の数や保有資格、社会保険加入状況などが明らかになり、取引先からの信頼が得やすくなります。 - 技能者の能力評価と連動した専門工事企業の施工能力などの見える化(4段階評価)
⇒キャリアアップ建設システムの登録を行っていない場合、経営事項審査における加点項目である「技術者レベルの4段階評価」が行えない状態になります。 - 出面管理のIT化
⇒賃金や代金支払いの根拠が明確になります。
元請や上位下請側のメリット
- 情報の見える化による信頼と安心
⇒初めて仕事する下請業者の実力や技能者の資格などの確認ができ、施工の安心感につながります。 - IT化による業務の効率化
⇒パソコンで作業できるので、進捗状況の確認やなどの現場管理が効率的にできます。
⇒施工体制台帳、作業員名簿の作成、建退共の証紙受払・貼り付けなどのペーパーレス化が図れます。
⇒増える外国人労働者の資格などの確認が簡単にできます。
デメリットについて
建設キャリアアップシステムには、メリットもたくさんありますが、デメリットも少なくありません。
システム導入の際に懸念されがちな理由を解説していきます。
コストがかかる
建設キャリアアップシステムは有料で登録するサービスになります。主なコストは下記の4つです。
- 事業者登録
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事業者がシステムを利用する際に必要な登録料です。
登録の有効期限は5年間で、登録が完了した日から5年後の登録月末まで有効となります。
登録料は下記の表にある通り、事業者の資本金額をもとに決まります。一人親方 0円 500万円未満(個人事業主含む) 6,000円 500万円以上1,000万円未満 12,000円 1,000万円以上2,000万円未満 24,000円 2,000万円以上5,000万円未満満 48,000円 5,000万円以上1億円未満 60,000円 1億円以上3億円未満 120,000円 3億円以上10億円未満 240,000円 10億円以上50億円未満 480,000円 50億円以上100億円未満 600,000円 100億円以上500億円未満 1,200,000円 500億円以上 2,400,000円 ※個人事業主の場合は、事業者登録料は6,000円(税込)です。※一人親方の事業者登録料は無料です。 - 技能者登録
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カードの発行に必要な料金であり、カード有効期間は発行日から発行9年経過後最初の誕生日までとなります。
なお、申請時60歳以上の方の有効期限は同14年目の誕生日まで、本人確認書類未提出者は同2年目の誕生日までが有効期限です。申請方法 登録料(税込) インターネット 簡略型:2,500円 詳細型:4,900円 認定登録機関 詳細型:4,900円 ※カードの紛失・破損・券面書換が必要な場合は、実費(1,000円)にて再発行できます。 - 現場使用料
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システムにおいて現場・契約情報を登録した事業者に対し、現場における技能者就業履歴情報の登録回数(現場に入場する技能者の人日単位)に対する利用料金であり、一定期間ごとの事後精算で支払う必要があります。
1人日・現場あたり 10円(税込) - 管理者ID利用料
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事業者が建設キャリアアップシステムにおいて事業者情報(現場情報を含む)を管理するために 必要となる管理者ID に対する利用料金です。毎年支払う必要があります。
1IDあたり* 11,400円(税込) *一人親方の方の管理者ID利用料は、2,400円です。
※利用料金の最新情報は、こちらをご確認ください。
手間がかかる
建設キャリアアップシステムのデメリットはコストのほかに、下記のような手間もかかります。
パソコンを使い慣れていなかったり、膨大な説明書を読み漁ることが得意ではない方には辛いかもしれません。
- 登録は実質インターネット申請のみです。
(窓口の認定登録機関は全国に237ヵ所しかなく、ない都道府県もあるため。) - マニュアルが膨大にあります。
- 操作や説明書が頻繁に変更されます。
建設キャリアアップシステムの申請の流れについて
申請方法は、インターネット申請と窓口申請(認定登録機関)の2つの方法がありますが、今回はインターネット申請について解説してまいります。
事業者登録
申請用のIDおよびパスワードを取得します。
STEP1で取得したIDおよびパスワードを使用し、システムにログイン後、必要な情報を入力します。
すべての入力が完了したら、内容を送信し、申請を行います。
不備などがあった場合には、登録したメールアドレス宛に連絡が届きますので、確認および修正対応します。
申請が通ったら、案内が通知されますので、事業者登録料を支払います。
事業者登録料の支払い完了後、事業者IDおよびパスワードが発行されます。
技能者登録を済ませ、運用を開始します。なお、事業者登録の有効期限は新規登録完了月から5年後の月末です。メールに届く案内に従って更新作業を行います。
技能者登録
技能者登録には技能者の本人情報などの基本情報の登録のみで発行される「簡略型登録」と建設技能者の能力評価制度(レベル判定)の申請などに必要な保有資格情報などを登録する「詳細型登録」の2種類があります。
どちらかを選んで登録する方式となります。
事業者から技能者への説明、代行申請同意書類など必要な添付書類の収集・準備を行います。
事業者IDおよびパスワードを使用し、システムにログイン後、技能者情報を登録します。
すべての入力が完了したら、内容を送信し申請を行います。
申請完了後、通知される案内に従って支払いを完了させます。
簡易型:登録料2,500円
詳細型:登録料4,900円
不備などがあった場合には、登録したメールアドレス宛に連絡が届きますので、確認および修正対応します。
事業者登録および事業者登録料の支払い後、技能ID、パスワード、建設キャリアアップカード(郵送)が発行されます。
登録情報に変更などがあった際は、技能者IDおよびパスワードを使用し、登録情報を必ず変更しましょう。
また、「転勤や転職の際に前職にカードを置いてきた」「そもそも貰っていない」などのことがよくありますが、カードの再発行には再発行手数料(1,000円)がかかってしまいますので、ご注意ください。
ポイントは、登録の順番で「事業者登録→技能者登録」がおすすめです。
技能者情報と事業者情報の紐づけは重要で、事業者IDを取得していれば技能者登録の際に入力できるのでスムーズに運用が始められます。
まとめ
建設キャリアアップシステムの登録には、手間や費用、そして登録期間が数ヶ月間掛かる等のデメリットもあるため、「任意登録なら後にしよう」と考えている方も多いのではないでしょうか。
懸念されがちではありますが、それ以上に得られるメリットが大きく、利用者も増えている状況です。
今後、義務化される可能性が高いシステムになりますので、余裕をもって導入することをおすすめします。
また、当事務所も登録申請業務をお手伝いさせていただいております。通常の業務を行いながら、登録申請(変更申請・更新申請)を行うのは厳しいなどといった場合にはぜひご相談ください。
建設業許可、経営事項審査等の申請手続きや建設業法令に関するご相談がございましたら、あやなみ行政書士事務所へご相談ください。
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