こんにちは!
行政書士の宮城彩奈(@ayanamiyagi)です。
本記事ではグループ経審を解説します。
グループ経審とは、親会社および子会社などのグループ企業間で、相当程度の機能分担がされている場合に(例:A子会社は建築、B子会社は電気など)、法人格としては別であっても実質的には合併した企業と同様の企業の集まりとみなし、グループ内の完成工事高等を集約して評価を受けることができます。
グループ経審を受けるための条件は?
グループ経審を受けるためには、まず経審を受ける前に親会社と子会社の関係について認定を受けなければなりません。(事前認定制です。)
認定を受けるためには以下の要件があります。
- 企業集団に属する会社は、親会社及び子会社であって、原則建設業者です。(関連会社は含みません。)
- 企業集団に属する会社に親会社は含まれなければなりませんが、子会社については全部を含む必要はありません。
(企業集団に属する会社を変更するには、株式の取得または売却による子会社の範囲の変動によるものなどの相当の理由がある場合に限られます。) - 同一の会社が複数の企業集団に属することはできません。
企業集団の審査基準日は?
グループ経審の場合は、複数の会社が関わってくるため「一体いつが審査基準日になるの?」と疑問に思いますが、基本的にグループ経審の場合は親会社の事業年度終了日が審査基準日になります。
ただし新たに他の建設業者の株式を取得して、その建設業者を子会社にした場合はその株式取得日も審査基準日とすることができます。
認定の基準は?
下記の表の項目ごとの算定方法で算出した数値を認定します。
企業集団においては、下記の表により認定された数値等をもって経営事項審査を受ける建設業者(以下、代表建設業者)は、建設業の種類ごとに、一建設業者のみになります。
経営事項審査の審査項目 | 各項目の数値等の算定方法 | |
X1 | 建設工事の種類別完成工事高 | 企業集団に属するすべての会社の建設工事の種類別年間平均完成工事高を合算し、算定する。 ただし、企業集団に属する建設業者相互間における建設工事の完成工事高は相殺消去しなければならない。 相殺消去の方法は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に従う。 なお、金融庁組織令(平成10年政令第392号)第24条に規定する企業会計審議会により公表された企業会計の基準は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に該当するものとする。 |
X2 | 自己資本の額 | 企業集団に属するすべての会社の自己資本の額を合算し、算定する。 ただし、企業集団に属する親会社の子会社に対する投資とこれに対応する子会社の資本および企業集団に属する子会社相互間の投資とこれに対応する資本は、相殺消去しなければならない。 相殺消去の方法は完成工事高に準ずる。 |
利払前税引前償却前利益の額 | 企業集団に属するすべての会社の利払前税引前償却前利益の額を合算し、算定する。 | |
Y | 経営状況 |
企業集団に属する親会社の連結財務諸表により算定するが、連結財務諸表の各勘定科目の数値を認定することによって、経営状況の項目の数値を認定したものとみなす。 なお、連結財務諸表原則に基づき連結財務諸表を作成する前の連結の範囲と、グループ経審における企業集団の範囲は必ずしも一致しないことに留意する。 |
Z | 技術職員数 | 企業集団に属するすべての会社の建設業の種類別の技術職員の数を合算し、算定する。 |
建設工事の種類別元請完成工事高 | 企業集団に属するすべての会社の建設工事の種類別年間平均元請完成工事高を合算し、算定する。 ただし、企業集団に属する建設業者相互間における建設工事の完成工事高は相殺消去しなければならない。 相殺消去の方法は完成工事高に準ずる。 |
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W | 労働福祉の状況 | 原則として、企業集団に属するすべての会社が加入または導入している場合にのみ認める。 |
営業年数 | 原則として親会社の営業年数とする。 | |
防災協定締結の有無 | 原則として、企業集団に属するすべての会社が締結している場合にのみ認める。 | |
法令遵守の状況 | 原則として、企業集団に属するすべての会社の法令遵守の状況を審査する。 | |
公認会計士等の数 | 原則として、企業集団に属するすべての会社の公認会計士等の数を合算し算定する。 | |
監査の受審状況 | 原則として、親会社の監査の受審状況とする。 | |
研究開発費 |
原則として、企業集団に属するすべての会社の研究開発費の額を合算し算定する。 |
認定の申請手続きの概要とは?
- 企業集団および企業集団についての数値等の認定の申請は、「企業集団および企業集団についての数値等認定申請書」を提出しなければなりません。
- 申請書の記載内容は、申請者以外の当該企業集団に属するすべての会社が承認したものでなければなりません。
- 認定の手続きは、国土交通省不動産・建設産業局建設業課にて行います。
- 国土交通大臣は、認定を行ったときは、当該申請者に対して「企業集団および企業集団についての数値等認定書」を交付します。
- 企業集団に属する複数の建設業者が、それぞれ認定を申請する場合は、同日に申請しなければなりません。
経営事項審査の手続きの概要とは?
- 認定を受けた建設業者は、経営事項審査にあっては許可を受けた国土交通省(地方整備局)または都道府県知事に対して、経営事項審査申請書に認定書のコピーを添付して申請します。(経営状況分析も同様)
企業集団に属する建設業者の経営事項審査は、グループ経審に限られていることに留意してください。 - ①において、自らが代表建設業者ではない建設業の種類については、当該建設業者にかかる建設工事の種類別年間平均完成工事高と技術力の項目の数値を最低値として申請します。
- 国土交通省(地方整備局)または都道府県知事は、グループ経審の結果を通知するときは総合評定値通知書に「グループ経審」と明記します。(経営状況分析も同様)
- 企業集団に属する会社の商号は公表します。
まとめ。
グループ経審のような特殊な経営事項審査は書類も複雑です。
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