こんにちは!
行政書士の宮城彩奈(@ayanamiyagi)です。
2021年(令和3年)4月1日から経営事項審査が改正されました。
今回の経営事項審査の改正は主に以下の4点です。
- 技術職員数にかかる改正(監理技術者補佐の新設)
- 労働福祉の状況にかかる改正(中小企業等協同組合法の認可を受けて共済事業を行う者との補償契約)
- 建設業の経理の状況にかかる改正(公認会計士・税理士の登録、建設業経理士5年毎の講習)
- 知識、技術、または技能の向上に関する建設業に従事する者の取り組み状況にかかる審査項目の新設(CPD単位取得)
技術職員数にかかる改正の内容
令和2年10月1日の改正建設業法で新設した監理技術者補佐は、「主任技術者になれる、かつ、1級技士補の者」です。
「1級技士補」とは、1級施工管理技士試験の第一次試験に合格した者のことを言います。
経審上では、主任技術者相当よりも上位で監理技術者相当より下位にあたります。
評点 | 技術職員区分 | 資格の例 |
6点 | 1級監理受講者 | 監理技術者資格者証の保持者 |
5点 | 1級技術者 | 1級建築施工管理技士、1級土木施工管理技士、1級建築士 等 |
4点 | 監理技術者補佐(New) | 1級建築施工管理技士補、1級土木施工管理技士補 等 |
3点 | 基幹技能者等 | 登録電気工事基幹技能者 等 |
2点 | 2級技術者 | 2級建築施工管理技士、2級土木施工管理技士 等 |
1点 | その他技術者 | 第2種電気工事士、10年の実務経験 等 |
労働福祉の状況にかかる改正の内容
法定労災の上乗せとして、任意の補償制度に加入している場合に加点される対象として「中小企業等共同組合法」に基づき共済事業を営むものとの間の契約についても加点対象になりました。
評価対象になる補償制度
- 全日本火災共済協同組合連合会
- 公益財団法人建設業福祉共済団
- 一般社団法人全国建設業労災互助会
- 一般社団法人全国労働保険事務組合連合会
- 保険会社(保険業法第3条の免許を受けて保険業を営む者)
- 中小企業等協同組合法の認可を受けて共済事業を行う者(New)
評価対象になる補償制度の要件
上記④・⑤の場合は、以下の要件を満たさなければ評価対象になりません。
- 障害等級が第1級〜第7級までのすべての災害を対象とすること。
- 直接の使用関係、下請負人の直接の使用関係にある職員を対象とすること。
- 業務災害、出退勤共に通勤災害も対象とすること。
- 共同企業体、海外工事を除くすべての工事現場を対象とすること。
建設業の経理の状況にかかる改正の内容
従来、公認会計士・税理士は登録を受けていなくても可、1級建設業経理士・2級建設業経理士(経理事務士)は1度合格すれば経審では評点対象でしたが、以下の条件に改正されました。
- 公認会計士:公認会計士法第28条の研修を受講+公認会計士として登録されている者
- 税理士:所属税理士会が認定する研修を受講+税理士として登録されている者
- 1級建設業経理士(経理事務士):試験に合格した年度の翌年度の開始日から5年経過していない者
- 2級建設業経理士(経理事務士):試験に合格した年度の翌年度の開始日から5年経過していない者
経過措置として、平成28年度以前に1級・2級建設業経理士(経理事務士)試験に合格した者でも、令和5年3月末までは引き続き経審の評価対象になります。
「経理処理の適性を確認できる者」については、改正前の①〜③の者と変わりません。
公認会計士・税理士は研修+登録
建設業経理士は5年毎に登録経理講習が必要になったということです。
知識、技術または技能の向上に関する建設工事に従事する者の取り組みの状況にかかる改正の内容
建設工事に従事する者は必要な知識、技術、技能の向上に努めなければならないとされているところ、改正建設業法は、継続的な教育意欲を促進させていく観点から建設業者による技術者と技能者の技術または技能の向上の取組み状況を評価することにしました。
- 技術者:建設業者に所属する技術者が、審査基準日(決算日)以前1年間に取得したCPD単位の平均値で評価
- 技能者:建設業者に所属する技能者が、認定能力評価基準により受けた評価が審査基準日(決算日)以前3年間に1以上(レベル1からレベル2等)向上した者の割合により評価
以下の算式で算出する数値で審査します。
- 技術者:施工管理を行うもので直接的な作業は行いません。
- 技能者:建設工事の直接的な作業を行います。
※技能者として10年以上の経験があると、技術者としての資格を得ることができます。
CPDとは?
CPDとは、Continuing Professional Developmentの略で、技術士・建築士・建築施工管理技士・土木施工管理技士などを対象にした技術者の継続教育制度です。
有資格者であればセミナーの受講が可能になっており、受講によりCPDの単位が与えられます。
資格取得後、資格の更新がない場合は自己研鑽を怠る者も中にはいます。
自己研鑽を行なっている技術者とそうでない技術者を区別でき、公共工事の入札などでCPD単位を評価の対象にしている場合もあり、CPD単位が客観的な評価を可能にします。
技術者の評価の詳細
技術者と技能者の評価の方法と、計算式については国土交通省「経営事項審査の主な改正事項(令和3年4月1日改正)」参照しています。
技能者の評価の詳細
評点の参考表
まとめ。
CPDの部分は計算式や表なので、国土交通省の資料のままですみません!
既に、次の経営事項審査の改正が審議されています。
現時点では、以下の内容が見直しを検討されています。(参考記事)
情報が入り次第、記事にしたいと思います。
- 下請負人に使用される者の労働条件に係る取り組みで、CCUSを現場で導入している元請企業を評価
- ワークライフバランスに関する取り組みとして、くるみん・えるぼし・ユースエール認定等を受けている企業を評価
- 建設機械の保有状況に関する評価対象機械の追加
- 環境への配慮に関する取り組みとしてISO14001に加え、エコアクション21を候補として想定
- 監理技術者講習受講者の経審上の加点について、経審上加点可能な期間を修正
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